「ホホホフ……オフゥ……」

「あっけなく逝ったか。口ほどにもなかったな。まあいいさ、かわりはいくらでもいる」

 おくるみネコはまだ十五、六匹ほどいたはずだ。この際だからみんな気持ちよくしてやろう。と、思ったのだが、なんだか仲間たちの視線を感じる。

「ソ、ソラ……あの、こういうこと言うと変かもしれないけど。その、見ていてなんだか変な気分になるっていうか、えっと……」

「私はソラが望むなら、どんなことでも応じるつもりだ。けれど、その、私にするときは、すこし手加減してほしいと、思う」

「わたくし、お兄様のテクニックに大変興味がありますわ。お兄様は、そういったご経験は豊富でございますの? お相手を快楽の沼に沈めるがごときいやらしい手つきは、いったいどこで身につけられましたの?」

「それとっても気持ちよさそうね~。ソラ~、わたしにもやって~?」

 あらぬところで、予期せぬ誤解が生じている。いや違うんだよ。これはね、心触れ合う暖かなコミュニケーションであって、やましい心なんて欠片もありはしないんだよ。

「まあ、その、ソラ。君も生物である以上、そういった欲求があることも、私は理解しているつもりだよ。しかし我々に見せつけるのはあまり感心しない。……ほどほどにな」

「ソラ……えっち」

「みゅ! ソラ、エッチ!」

 俺の味方はいないのか。それともこれは俺のモフモフナデナデが異常なのか。よく考えてみれば俺以外はみんなカテゴリー上は魔物なわけで。その中でも悪魔の森の五人は、もともと獣なわけで。

「ん……? 魔物?」

「くっ、ミッケがやられたニャ! ニンゲンごときが、よくもやってくれたニャ!」

 先ほどから引っかかってはいたのだが、ひょっとしてこのネコ族たちは、ただ単に人間を目の敵にしているだけなのではなかろうか。このままだとまともに話もできなさそうだし、試してみる価値はありそうだ。

「リュカ」

「は、ひゃいっ! なにかしら、ソラ?」

「ちょっとドラゴンの姿に戻ってくれないか」

「えっ⁉ そ、それはその、『そういうこと』なの……? で、でも、よりにもよって、みんなが見てる前でだなんて……」

 リュカは耳まで真っ赤になって、体をくねらせる。そして涙目になりながら、上目遣いで俺のほうを見た。

「……どうしてもしたいの?」

「違う違う! モフモフナデナデじゃなくって。こっちも魔物であることを教えてやれば、敵愾心がないことを示せないかなって」