「はい、一対一でも、とても太刀打ちできるようなものではありませんでした」

 俺は《鑑定》で護衛隊長のステータスを確認してみる。


名前:アリマース

年齢:35

性別:男

称号:元王国騎士団兵長

レベル:40

【HP】680

【MP】430

【攻撃力】320

【防御力】400

【持久力】380

【精神力】200

【素早さ】230

【器用さ】90

【運】10

スキル:【槍術】【防衛】

魔法:《ヒール》


 この人、思っていたよりもだいぶ強い。以前遭遇したダストン男爵の手下がたしかレベル10だったから、勝手にそれぐらいだと思っていたが、さすがは人を率いて王都を守っていただけのことはある。しかし彼をして単騎でも歯が立たないレベルの魔物が、中規模の徒党を組んでいるのか、これは想像していたよりもずっと深刻な事態という気がする。

「レベル40の騎士でも叶わない魔物か。レベル100ぐらいかな?」

「……それはない」

 口をはさんだのはサレンだ。

「せいぜい同じぐらいか、それ以下……だと思う。そこまで高レベルの魔物がいれば、私の耳にも入る……」

 かつて魔物たちを率いる魔王であった彼女は、外の世界の魔物に関して、間違いなく一番詳しい。そもそも彼女が持つ【百鬼夜行】は、自身よりも弱い魔物にのみ効力を発揮するスキルだ。こと魔物の強さに関して、情報収集を怠っていたとも思えない。それで言うとやはり、レベル3桁の魔物がうじゃうじゃひしめいていた悪魔の森が異常だったということなのだろう。ようやく外の世界のパワーバランスがわかってきた。

「相手の規模はわかりますか?」

「はっきりとは申し上げられませんが、多く見積もって二〇体ほどだったと思います」