よく見れば、他のウルフよりひと回り大きい。周りの連中はAランクだが、ウルフコマンダーはSランク――コカトリスと同レベルの強敵だ。



――ワオオオオオオォォォォォォン!



【共鳴】



ウルフコマンダーがスキルを発動させた。ウルフたちが淡く輝く。速度を増したウルフたちは、より統制の取れた動きで、再びミラクルスライムの周囲を取り囲んだ。やはり個体の強さ以上に、やっかいなのはその連携だ。

「クソッ!」

俺は地を蹴って、ミラクルスライムを抱え上げた。すぐ背後で、ウルフの爪が虚空を裂く。

落ち着け、戦い方はあるはずだ。

しかしミラクルスライムを守りながら、剣技だけで対応するには限界がある。ならば――。

「環境を利用する他ないな……」

周囲の木々には太いツタが絡みついている。俺は《分解》でツタを繊維へと変え、《構築》でより合わせ、即座に罠を組み上げた。森を駆け抜けながら、次々と罠を仕掛ける。



――キャウウン!



早速罠にかかった奴がいるらしい。振り返ると、一匹のウルフが宙吊りになっていた。

「よし!」

俺はミラクルスライムを抱えたまま、渦を描くように森を走りながら、罠を仕掛け続ける。ウルフたちの悲鳴が響き渡る。その一匹一匹の鳴き声を、慎重に数えていく。あと四匹、三匹、二匹――まさに入れ食いだ。あれほどいたウルフが、今ではすべてが罠で宙吊りになった。そして。