五柱の災い肉を得て顕現せり
 其は火を食む裁定者
 其は彷徨える氷剣
 其は不死の雷霆
 其は生ける大陸
 其は神酒の一滴

 剣神アランは火を断ち切り
 氷を砕いた
 勇壮拳ガーティーは雷をものともせず
 大陸を落とした

 癒しの手ロマネのもとに人は立ち上がり
 再び大地に生きた
 
 大魔術師ヴァージニアの創りし迷宮が
 災いを永久に封じた

 其は悪魔の森
 触れることならず
 触れることあたわず

 大魔術師ヴァージニア・エル=ポワレ
 彼の地に眠る


「結局、眠ることはなかったのだがね……」

 彼女は、昔のパーティーについて、いろんなことを話してくれた。

「アランは剣の腕が立つ奴だった。当時では、大陸一と言って良かっただろう。それが結構ないたずら者でね。よく《サンダー》でお仕置きしてやったものだ」

 懐かしそうに語りながら、ページをめくる。

「ガーティーは、力自慢の大男だ。でも、誰よりも優しかった。花が好きだったけれど、摘むのは嫌がった」

 過ぎゆくページが、厚みを増していく。

「ロマネは、男を取っかえ引っかえするのが、玉に瑕だったけれど、それでも根は悪い奴じゃなかった。いつでもパーティーのことをいちばんに考えていた」