「仲間がいたんだな」
「少し、違うかもしれない」
エルダーリッチは、ページをめくりながら、続ける。
「みな、世界を救わなければならないと考えていた。そして力を持つ者が集まった。それだけのことなのかもしれないな」
そうして彼女は、囁くような声で朗読を始めた。
炎が町を焼き
灰は凍りつき
雷が人を撃ち
影はすべてを押し潰した
人に安住の地なく
飢えが空を満たし
痩せ細った腕が
勇者に縋る
其は剣神アラン
其は勇壮拳ガーティー
其は奇跡の手ロマネ
其は大魔術師ヴァージニア
剣神アラン、その刃は風の如し
百万里の奈落から
太陽さえも切り裂いた
勇壮拳ガーティー、その拳は流星の如し
魔物の蔓延る七つの山は
割られてひとつの谷となった
奇跡の手ロマネ、その肌は光の如し
唱う調べに傷は閉じ
死者さえもが微睡んだ
大魔術師ヴァージニア、その指は御使いの如し
ひと振りで天の怒りをいざない
槌となって災いを追いやった