俺は身を翻し、その回転を利用して次のウルフの首を切断する。血の糸を引きながら跳んでいく首を見送ることもなく、左から来たウルフのあぎとを刺し貫いた――その瞬間。

「ぐッ……!」

死角から来た爪の一撃を、俺は躱すことができなかった。肩に深々と切り傷を負う。剣で応戦しようとしたが、その個体はいつの間にか消えていて、背後に気配。

「こいつらッ!」

俺は振り向きざまに剣を振るおうとしたが、背中に鋭い痛みが走る。

「連携してやがる!」

最初の四匹を屠ったミスリルの剣が、敵を捉えられなくなってきた。四方八方から襲い掛かるウルフの爪によって、少しずつ、少しずつ、HPが削られる。

敵の数が、いちばんの問題だ。

今となっては、奴らの包囲網から抜け出すことはできない。

「こいつは……ぐッ……少しマズいな……」

あちこちから吠え声が聞こえて、めまいがしそうだ。しかし俺は気付いた。ウルフの群れの中で、ひときわ高い声で吠える奴がいる。おそらくは一頭。つまり――。

「リーダーがいるッ!」

俺は生い茂る木々を盾にして、縦横無尽に森を飛び回った。そして視界に入るウルフに、片っ端から《鑑定》をかけていく。〈ウルフ〉〈ウルフ〉〈ウルフ〉……。

「いた!!」



〈ウルフコマンダー〉