「みゅ! オモシロカッタ!」

 みんなを見て微笑むエルダーリッチ。

「相変わらず君たちは賑やかだな」

 ここにいる面々がその気になれば、国ひとつが滅ぶだなんて、誰も思わないだろう。

 そうしてみんな、席に着く。

「で、本日の議題なのじゃが、ずばり!」

 市長は、手元の黒板をひっくり返す。

「実はまだ、自治領の中心となるこの街、つまり首都の名前がまだ決まっておりませんですじゃ!」

 黒板には大きく『首都名決定臨時特別会議!』と書かれていた。

「これまでは『東の村』などと呼ばれておったのじゃが、もはやそんなわけにはいきますまい。案のあるお方は、どんどん出していただきたいですじゃ」

 フェリスがスッと手を挙げた。

「ソラの巣」

「安直! ていうか俺の所有物でもない!」

 リュカは人さし指をつんつんさせる。

「ソラとリュカの巣」

フウカも負けじと手を挙げる。

「偉大なるお兄様の広大かつ絢爛たる巣、ですわ!」

 ミュウも跳ねる。

「ヤサシクテツヨイソラノス!」

 そしてホエル。

「みんなの巣~でいいんじゃないかな~」

「まず巣から離れようか」

 ネーミングに関して、悪魔の森勢は、ちょっとあてになりそうにない。

となると、外の世界に詳しいのはサレンとエルダーリッチだ。サレンは小さな声でぶつぶつと呟いている。

「ソランダルスセイム……ソラドリングバーグ……ソランデンブルク……」

 いろいろと絞り出そうとしているらしい。

「というか、俺の名前からもいちど離れて……」

 そこで、エルダーリッチがさらりと言った。

「ソラリオン、というのはどうだろう」

 なんだかその一言で、ぴっと場が引き締まったような感じがした。

「なるほど……確かに良い響きですじゃ……」

「でもさ……」

 俺は中指で頬を掻く。