そして、ミュウの“眼”をイメージする。

「そうだ、その調子だ」

 しばらく念じると――なにかが繋がった感覚が脳裏を走った。

 その瞬間、床の上に映像が映し出された。


  *  *  *


「ここはどこだ!? グルーエル!」

 国王は半狂乱だった。

 それもそのはず。〈転移水晶〉によって、本来なら辺境の別荘にいるはずだった。しかし今、目の前に広がっているのは――。

「ここは……その、つまり……」

 グルーエルは狼狽しながら言った。

「申し訳ございません、咄嗟のことで〈転移水晶〉を取り違えたようでございます」

「だからここはどこなのだ!? こんな森、見たこともないぞ! まさか……貴様……」

「その……まさかです……」

 声を震わせて、グルーエルは答える。

「ここは……〈悪魔の森〉に違いございません……」

 グルーエルは、あろうことか自分たちを“追放”してしまったのだ。

 国王の顔が、蒼白になる。

「なんということだ! このままでは魔物どものエサではないか! 一刻も早く〈転移水晶〉を使うのだ! 行き先はどこでも良い!」

 ――ビュウウウウウウウ……

 不気味に響くのは、風の唸りだろうか。グルーエルは懐を探りながら、

「承知しま……」

 ――バグゥ!

「ぎひぃあああああぁぁぁぁぁ……!」

 上空から襲いかかったワイバーンにくわえられ、グルーエルは空へと消えていった。

「グ……グルーエルゥウウウ!!」

 ワイバーンは一瞬にして、青空の小さな点になった。雛たちのエサを、くちばしにひっかけて。

「夢だ……これは悪い夢だ……」

 国王の顔に、引き歪んだ笑顔が浮かぶ。

「エサ……イル……」

 低い声とともにオークが二匹、木蔭から現れた。

「メズラシイ……エサ……」

「エ、エエエエサだとッ!? わしは王だぞッ!!」

「オウサマ……?」

「カタチ……チガウ……ニセモノ……」

 オークは頷き合いながら言った。