【聖女】:対象を守護し、スキルを無効化する。
守護――あの布に捕まったら終わりらしい。
ゾンビのように蘇った衛兵から、再び無数の火球が襲いかかる。それを縫って、カンジとアキラの物理攻撃。カンジのメイスを受ければ、ミスリルの剣であっても、破壊される可能性がある。アキラの剣を弾きつつ、首を落とそうとするカンジの剣を避け、足下をすくいあげるように迫る白い布を、大きく跳躍してかわす。
これまで一緒に戦ってきただけあって、四人の連携はかなりのものだ。
こちらも仕掛けなくてはならない。
俺は再び襲いかかってきたマイの布に、思い切り噛みついた。
「な、なにをッ!」
そして、即座にスキルを発動。
【食いしんぼう】:なんでも食べる。
ミュウから受け継いだスキルだ。俺は布を食い千切って腹に治めると、マイのユニークスキル【聖女】を手に入れた。
もちろん、それをすぐに発動させる。対象はナナの操る衛兵たちだ。俺の手のひらから放たれた白い布は、次々と衛兵たちを巻き取って無効化していく。
「ウソ……でしょ……ッ!」
ついでにナナとマイの体も拘束して、攻撃を封じた。
「クソッ……外し……なさいよ……ッ!」
「汚い手を使いやがって!」
カンジとアキラは近距離で攻撃を仕掛けてくるので【聖女】を使って拘束するのは難しい。
しかし、無力化する方法はいくらでもある。
【破壊光線】:回避不能の熱攻撃を発生させる。
俺の眼から放たれた光線が、カンジとアキラの武器に命中する。
「あっづッ!」
「クソッ!」
赤熱してドロドロと溶け始めたメイスと剣を、ふたりは放り出した――その隙を逃すはずがない。
俺はミスリルの剣で、カンジとアキラの首筋に、峰打ちを叩き込んだ。
これで、すべて片づいた――かと思われたが。
「いてぇことしてくれるじゃねェか……」
カンジとアキラがむくりと起きあがる。
確かに気絶させたはずだ。
いつの間にか、破壊したはずのメイスと剣も再生している。
なにかある。
俺はアキラに《鑑定》をかけた。
【勇者】:対象に勝利する。
めちゃくちゃなスキルだ。さすがはパーティーのリーダーといったところか。俺はふたりから距離をとりつつ、更に《鑑定》を試みる。
【勇者】:対象に勝利する――負けを認めるまで、パーティーメンバーは何度でも復活する。