真っ白になって、そして――それから――サレンが降ってきた。

「え」

 ――ポコォン、ばたばたっ

 目を開けると、ソラとサレンが床に転がっていた。

「いっててて……」

 ソラが頭を押さえて呻いている。

「ごめんね~」

 屋上の縁の下から、ふわふわとホエルが現れた。

「たかいたかい~、失敗しちゃった~」

「死ぬかと思った……」

 サレンは頭を押さえて呻いている。

「大丈夫だよ~《天衣無縫》で速度は落としたから~」

「十分痛かった……」

 ふわふわと落ちてきた帽子を、ホエルがキャッチした。

「はいどうぞ~、また遊ぼうね~」

 そう言って、角の生えた頭に帽子を被せる。

「たかいたかいは、もういい……」

「はいは~い」

 そんなことを話しながら、ふたりは屋上の縁から《天衣無縫》で、ふわりと降りていった。

「………………」

 尻餅をついているソラに、私は手を伸ばした。

「その……なんだ」

 さっきまでのくらくらするような雰囲気は、もうすっかり消えてしまっている。

「……帰るか」

 そんなことを、つい言ってしまった。

「お、おう」

 ソラの返事も、少しぎこちない気がする。

 なんだか、ソラと目が合わせられない。

 変な感じになってしまった。


  *  *  *


「なんということだ……」

 書き換わった地図を玉座で眺めながら、国王はため息をついた。

 赤く塗りつぶされた地域は、かつて王国領の一部であり、今は――。

「あの錬金術師め……!」

 ――ソラが治めている国だった。

「しかも、そこに多数の王国民が流れ込んでいるというではないか……」

 国の人口は、そのまま国の税収だ。ソラの国への人口流出が止まらなければ、それは減る一方だろう。