「おお、完成か!?」

 俺は料理人の分のラーメンをよそった。こんどはナルトとチャーシューも付けて。メンマは、材料のタケノコに代わるものが見つからなかったので、今回は諦めた。

 料理人も、最近ではすっかり箸を使いこなしている。さらに実験を重ねるうちに、啜り方もマスターしていた料理人は、新しいラーメンを食べるなり目を見開いた。

「この歯ごたえは、今までのメンに無かったものだ……それに塩気の強い、熱いスープが絡みつく……」

 夢中でラーメンを啜り、具にも手を出す。

「甘辛く煮込んだイッカクシカが、味に変化をもたらしている。それに、このナルトの鮮やかなこと! カワイイ! こいつが……こいつがラメンの完成形……!」

「そうです! これが……これこそがラーメンです!」

 俺はスープを飲み干した料理長と、抱き合った。

「完成だ! やっと完成だ!」

「ソラさん! こいつは革命だぜ! 明日から忙しくなるぞ!」

 リュカたちにも試食してもらった。最初はおそるおそる麺をフォークで掬っていたけれど、ひと口食べるなり、

「………………!」

 みんな目を輝かせながら、ラーメンを食べ始めた。

「みゅ! オイシイ! シンショッカン!」

「すごいわ……これもソラの発明!?」

 リュカの言葉に、俺は答える。

「いや、ひとりじゃとてもできなかったよ」

 俺と料理人は、熱い握手を交わした。

 料理人の予想どおり、ラーメンは大反響を呼んだ。料理人は他の料理よりもラーメン作りを極めることを選び、百貨店のこの店は、世界で初めてのラーメン屋となった。

「いやあ、マジで幸せだ! またラーメンが食えるとは夢にも思わなかった!」

 カウンターには箸が入った筒もあり、こっちの手元を見ながら、果敢に箸使いに挑戦している客もいる。

「いつでも来てくださいよ、ソラさん! 実はスープの種類と具を増やそうと思ってるんだ。その試食もしてもらいたい!」

「喜んで!」

 町はどんどん発展している。忙しい日々は続きそうだ。


  *  *  *


 ソラから、剣をもらった。

 刃を見てみたが、おもちゃじゃない。

 私の宝物庫にもなかったような、業物だ。

「………………」