そしてそうした村の人々のところにも、若者が戻ってきているらしい。この町の若者がダストン男爵のもとから解放されたことで、自由への気運が高まっているそうだ。
若者の力があれば、村の発展は早い。
「ソラ、忙しいわね!」
「ああ、体ひとつじゃ足りないな!」
この町を中心とした、豊かな領地を造り上げるのだ。やりたいことはたくさんある。アイディアも、どんどん出てくる。
「お待たせしました!」
俺は庇護を求めてきた村の使者に挨拶した。
「あなたが悪魔の森の王……こう言うと失礼ですが、もっと怖ろしい方かと」
俺は体を固くしている使者に笑いかけた。
「これからは、困ったことがあったら、なんでも言ってください」
「……では早速なのですが、私の村では次々と井戸が枯れてしまいまして」
噴水を造ったときの要領で、なんとかなるかもしれない。
「わかりました、では村まで伺いましょう」
「王様自ら……感謝の限りでございます」
「そんなふうに呼ばれるほど、たいしたもんじゃないですよ。ソラ、で結構です」
こうして俺たちの領地は、どんどん拡大し、改善されていった。
忙しい毎日だ。でも、それが楽しくて仕方がない。