洞窟の奥で、それは輝いていた。なんで気がつかなかったんだろう。



《鑑定》



〈ミスリルの鉱石〉



ウィンドウの下に、ミスリルの性質が表示される。鉄を大きく超える硬度と柔軟性。

「おお……マジか……!」

【錬金術】というスキルを持った俺にとって、これほどの幸運はない。重要なのは材料だ。材料さえ揃えばなんでもできるのが【錬金術】――この認識は、たぶん間違っていないだろう。

「よし、じゃあ早速やってくか!」

日本刀制作の動画を何本か見たことがあって、だいたいのステップは覚えている。もちろん、鍛冶場にぶち込まれて「さあ刀を打て」なんて言われてできるわけはないんだけれど、俺には錬金術がある。



《融解》



天井から突き出ていた結晶が、どろりと溶け落ちた。剣を作るには充分な量がありそうだ。



《酸化》



ジュウッという音がして、溶けたミスリルが白く濁った。ミスリルは輝きを失ったが、それは不純物が酸化して分離し、表面に浮き上がってきためだ。



《精錬》



白濁物が消え去った。不純物を取り除いたことで、ミスリルはさっき以上に美しく輝く。



《鍛造》