俺は頷いた。
「支配したいわけじゃないんだ。ただ村の人たちを見てると、守りたいって思ったんだよ」
「……私のことも、そう?」
サレンは大きな帽子を傾げる。
「守りたいから、守ってるの?」
「うーん」
俺は少しだけ考えて言った。
「守りたいってよりは、一緒にいたいって感じかな?」
サレンは返事をしなかった。なんでも正直に言えばいいってものじゃないらしい。
「俺、変なこと言っちゃったか」
「ううん……」
首を振って、サレンは言った。
「そんなこと、ない」
* * *
ソラには確実に、支配者としての才覚がある。
けれども、その治世はあまりにも緩い。
世を治めるということは、そのすべてを操り、命じ、貢ぎ物を納めさせることではなかったのか。
私が、そうしてきたように――。
ソラは村の人々の拍手に、少し恥ずかしそうに手を振って応えている。
「………………」
ソラに、一緒にいたいと言われて、私の胸はズキリと痛んだ。
でもこれは、ソラから離れれば楽になれるというものでもないらしい。
この感覚はなんだろう。
離れたくない――この感覚は、なんだ。