風呂上がりの女の子たちに囲まれて絡まれて、さすがに俺もヒートダウンする必要がある。俺は水車小屋近くの岩に腰掛けて、ひと息ついた。
「……ソラ」
振り返ると、サレンがいた。
「どうしたサレン、みんなと一緒にいないのか?」
「………………」
サレンは黙って、俺のすぐ隣に座った。
「ソラと、いたくて……」
「そうか」
すでにできあがったパーティーに混じるのは、けっこう疲れるのだろう。サレンが新参だからといって、仲間外れにするようなリュカたちではないけれど、やはり気は遣うはずだ。
「みんな、良くしてくれてるか?」
「うん、みんな優しい……でも」
サレンは、頭を肩にもたせかけてきた。帽子がもちあがって、下の角が見える。
「ソラがいちばん優しい。ソラがいい……」
「ありがとう、そりゃ光栄だ」
「今日は、お城で寝るの?」
「そのつもりだけど」
「ソラと一緒に……寝てもいい?」
やはり、心細いのだろう。俺は頷いた。
「いいよ。今日は一緒に寝よう」
* * *
ソラの城は、私の城よりもはるかに大きく、立派だった。どれだけの奴隷を使って建設したのか、それとなくソラに聞いてみた。
「奴隷なんかいないよ。錬金術で、ひとりで造ったんだ」
やはり、ただ者ではない。この男の血を吸えば往年以上の力を取り戻せるのだろうが、おそらく寝首を掻くのは不可能だろう。ソラ自身の実力もさることながら、周囲には常に味方の魔物がいる。ただ女をはべらせて喜んでいるわけではないのは確かだ。呑気に見えて警戒心が強いのかも知れない。
しかし、誘惑することはできる。
私の虜にして、意のままに操ることができれば、この男の力は私の力も同然だ。
「リュカたちには黙っててくれよ。じゃないと、またベッドでおしくらまんじゅうをすることになりそうだから」
「うん……」
言うわけがない。風呂に行ったときも、体中を洗いまくられて、大変な目にあった。
私の寝間着は、ソラが用意してくれた。サイズはぴったりだ。これも錬金術によるものらしい。錬金術師は何人か見たことがあるが、ソラほど巧みな者はいなかった。
ソラとミラクルスライムがベッドに入り、私ももぐりこむ。