グルーエルの顔が蒼白になった。

「なんなのだ!? なんなのだいまの怪物は!?」

「はっ! 神に選ばれし魔法の使い手〈魔女〉の魔法が、あのように破られることを……鑑みますと……やはり結論は……」

王冠の隙間から、汗が流れ落ちた。

「魔王を超える……〈Sランク〉に相当する……怪物かと思われます……!!」

「S……ランク……だと……この世に……そんなものが……!!」

「現に……〈魔女〉は……」

ヒイヒイと涙を流し続ける〈魔女〉は、側近たちの手で医務室に運ばれていった。

「この世の……終わりが来るのか……」

先ほどのお祭りムードは一転し、王の絶望が謁見の間を満たした。





*   *   *





「数百年見ないうちに、世界は変わったな。ただの道に石が敷いてある」

俺たちは、のんびりと石畳の道を歩いていた。このまま行けば、町にでも着くのだろうか。どれだけ遠いかはわからないけれど、体力には自信がある。さっきミュウが助けた女の子は、俺が肩車していた。

この先、いったい何が待っているのだろう。ワクワクしつつも、ちょっと怖くはある。

「何を不安げな顔をしているのだ。安心しろ、お前は世界一の錬金術師だ」

エルダーリッチは、俺の肩をポンと叩いた。

「そうだといいんだけどね……」

まあ、何があろうと、みんなの力があれば乗り越えられるだろう。