「みんなのおかげで、成し遂げられたことだ。ありがとう」

〈勇者〉が胸を張る横で、〈聖女〉は静かに喝采を受け入れていた。

「しかし、あのレンキンジュツのクソザコがついてこなくて、ホント良かったな!」

〈破壊神〉が下卑た声を上げると、〈魔女〉が手を叩いて笑う。

「足手まといを捨てたのは正解だったよねー」

玉座では、王も笑い声を上げていた。

「いやはや、まさか本当に〈Aランク〉の怪物、魔王を倒すことができるとは! さすがは〈勇者〉だ。やはり錬金術師は悪魔の森に送って正解だったな」

「仰る通りかと」

近衛魔術師筆頭グルーエルは、王の言葉に深く頷いた。

「王様のなさることに間違いはございません」

「うむ! これで我が国は魔王討伐によって、大いに発展することになる。なにせ〈勇者〉を送り込んだ国には、大陸全土の国から報奨金が出るのだからな!」

「は、国家予算の三年分に相当すると伺っております」

「早速使い道を考えんとな! まあ、考えてあるのだがな! まずは城の増築だ! ぶははははは!!」

もちろん報奨金だけではない。魔王を倒した国家ともなれば、議会での発言力も強まる。

王や側近の笑い声が響く中、兵士が真っ青な顔で謁見の間に飛び込んできた。

「ご、ご報告申し上げます!!」

「なんだ、騒々しい」