俺は断ることができず、しばらくふたり、そうしていた。
――――――。
皿を洗い終わると、俺はミュウを連れて部屋に戻った。
「やり切った、なー……」
とうとう、大迷宮を攻略した。俺たちは森を出ることができる。
「みゅ! アシタ! タノシミ!」
「そうだな」
みんなで力を合わせた、その結果だ。ぐっすり眠って、明日に備えよう。
「おやすみ」
「ソラ、オヤスミ」
うとうとしていると、急に、ずし、とベッドが軋んだ。
「……ん?」
「私だ」
「うわっ!」
暗がりの中に現れたのは、エルダーリッチだった。
「そう声を上げるな。話をしに来ただけだ……」
ベッドに腰掛けたエルダーリッチは、俺の頬に触れた。
「こんなふうに、人肌に触れたのはいつぶりだろうな」
蒼い月の光の中で、エルダーリッチは微笑む。
「正直に言うと、寂しかったよ」
エルダーリッチほど、膨大な時間をひとりで過ごしたわけではないけれど、この森に放り出されたときのあの孤独は、俺も忘れられない。
「君の孤独を、わかるとは言わないよ。けれども、それを癒やすために、何か俺にできることがあれば……」
「君の肉体に興味がある」
「ほふぁ!?」
頬に触れるエルダーリッチの指が、すすす、と首筋に滑る。思わず身体がびくっと跳ねた。