「外に出られないのは腹立たしかったが……」

フェリスは、俺を見て――目を逸らして言った。

「ソラと出会えたのも、この森があったからだ」

俺はそれを聞いて、心底安心した。エルダーリッチに対する敵愾心は、俺の杞憂だったようだ。

「ただし」

フェリスが、エルダーリッチを睨んだ。

「同じ種族だからといって、ソラを独り占めにはさせないからな」

「それは諸君の努力次第、と言っておこうか」

エルダーリッチは、ふふんと鼻で笑った。リュカも視線を鋭くする。閉じ込められていたことによる敵意はないけれど、別のものは生まれているらしい。

「まあ、みんな仲良く、な!」

「ソラがそうしたいなら、そうしよう」

そう言ってフェリスは、シャーベットの最後のひとくちを食べた。各々いろんな思惑はあれど、悪意はないというのはよく分かった。

すっかり満腹になったので、さあ寝ようと解散になった。今日はリュカが当番だから、一緒にお皿を洗った。

「まさか、こんなことになるとはね」

「こんなことって?」

「それは」

俺の洗ったお皿を拭きながら、リュカは笑った。

「こんなこと、よ」

そう言うと、俺の肩に、そっと頭を乗せた。

「ソラ、本当に感謝してるわ」

「俺だって、感謝してるさ」

ドギマギしながらも、俺は頷いた。

「さ、さあ、皿を片付けて……」

「もう少しだけ、このままでいさせて……」