「何を言うか! これは移動系魔法の最高位にあたるものだ! 私が発明した魔法の中でも、かなりの傑作と言っても過言ではないだろう! そもそも魔法というものは、おとぎ話のように簡単にはいかないものなのだ。そこには人類が脈々と受け継いできた知恵があり、そしてその歴史の中で必ず現れる私のような天才が、その知恵をもって森羅万象の謎を解き明かし、新たに前進することで、奇跡を生み出す。それこそが本当の魔法、人類の果てなき追究の旅であり……」

エルダーリッチが熱く語っている間、俺は【門】を眺めていた。この魔法は、明らかに人工物と呼べるだろう。ということは――。



《鑑定》



『魔法【門】』



《分解》



【門】は煙のようにかき消える。そして――。



《構築》



再び【門】が現れた。なるほど、これが魔法か。ふむふむと納得していると、エルダーリッチが両手を口元に当てた。最初はクールな印象を持っていたけれど、意外と表情が豊かだ。

「君、いま何をした……?」

「何って……錬金術だけど」

ハズレスキルの錬金術だ。しかしエルダーリッチの目は、きらきらと輝いていた。

「錬金術を……よくぞここまで練り上げた! ソラ、間違いなくお前は世界最高の錬金術師だ!」

「でも錬金術って、ハズレスキルなんじゃ……」