エルダーリッチは、リュカを見た。

「困難に挑む勇気」

フェリスを見やる。

「試練に打ち勝つ武勇」

ホエルと視線を合わせる。

「仲間を思いやる愛情」

フウカを見て。

「難局を覆す知恵」

そしてミュウに微笑みかけた。

「固く結ばれた信頼」

そして、その黒い瞳で俺をまっすぐに見た。

「思慮深く、清らかな心……これらすべてが伴わなければ、ここまではけして辿り着けない。そしてそれらを備えた君たちには、外の世界に出る資格がある。あの大迷宮には、私のすべてを賭けた。それを攻略した君には、驚嘆する他はない」

俺は、俺の仲間の、ひとりひとりを見て言った。

「みんながいてくれたからだよ」

ふむ、とエルダーリッチは頷く。

「しかし、人間の姿をした魔物がこれだけ揃うのも驚きだな。そしてそのすべてが規格外の能力を備えている。この森を封じたとき、そんな魔物は一体もいなかった」

「彼女たちは固有種と呼ばれてる、特別なんだ」

「実に興味深い。それが争いもせずに、パーティーを組んでいると……まあ、それはいい。それよりも君だ、ソラ。どうしてこの森に人間がいる? 君はどこから湧いてきた?」

暗い思い出を、話さなければならない。

「………………」