俺は《構築》を起動して猛毒茸に念を込めた。すると、禍々しい姿だった猛毒茸は、エリンギのような美味しそうな形に姿を変えた。

「これがハズレスキルか……便利なのにな」

俺はエリンギの形をした猛毒茸を、洞窟の外の目立つところに置いた。そして身を伏せてじっと獲物が来るのを待つ。

「……来た!」

緑色の肌を持った魔物で、手には凶悪な斧を携えている。俺は即座に《鑑定》を使った。



〈ゴブリンジェネラル〉



ただのゴブリンじゃないらしい。今もし洞窟から出ていったら、俺は一瞬で頭をカチ割られることだろう。

「………………」

ゴブリンジェネラルは、さっそく猛毒茸を見つけたらしい。

「…………グルゥ」

そうして、それをぽいっと灰色の口の中に放り込んだ。

「ぐぶっグルルルルゥ」

するとゴブリンジェネラルは、苦しそうな声を上げながらびくんびくんと痙攣し始めた。狙い通り、毒が効いてる!

「グベェッ、ゴハッ」

オレンジ色の血液を口から辺りにまき散らしながら、ゴブリンジェネラルは膝をついて倒れ伏した。

「やった……!」

その瞬間、血管を電流が駆け抜けるような、猛烈な力が湧いてきた。

「なんだ……これ……?」

ステータスを開いてみる。





名前:如月空

年齢:20

性別:男

称号:異世界召還に巻き込まれた人

レベル:95

【HP】1200