黒い瞳で、まっすぐに俺を見据えた。

「そして……おそらくは最後の」

女は立ち上がって、にっこりと笑った。

「自己紹介しよう。私はエルダーリッチ。何者かは、もう察しがついているんじゃないかね」

そうだ、おそらくこの女が。

「ようこそ、私の部屋へ」

この大迷宮を造り上げた張本人だ。

「何の目的があって、あんな大迷宮を……」

「急く話ではないだろう。ここの攻略は大変だったと思う」

氷の剣を発生させようとしたフェリスを、俺は制した。

「よくわかってるじゃないか。君たちに敵意はないよ。とりあえず……お茶でもいかがかな」

エルダーリッチはそう言って、妖艶な笑みを浮かべた。