「ボク! ソラ! タスケタ! エライ!」

俺に抱かれながら、ミュウは、ぽよぽよと跳ねた。

そこで俺は、すべてを察した。

「……オリハルコンの指輪か!」

あの指輪を食べたミュウは、身体の材質をオリハルコンに変化させるスキルを身につけていたのだ。モグモグマツの樹脂を食べて、ゴムになったときと同じように。

「この野郎、心配させやがって!」

俺たちは、みんなで抱き合って泣いた。フェリスも、いつものクールさを捨てきっていた。ホエルにも、いつものふんわりした余裕なんてない。みんなが感情を溢れさせていた。

「良かった……ほんとに良かったよぉ……」

そのとき、広間の奥に、光が射した。

ゆっくりと、扉が開く。

「あそこが、出口ってわけか」

俺は袖で、涙を拭った。

「行こう」

扉の外にあったのは――書斎だった。

部屋を囲うような巨大な本棚に、分厚い本がぎっしりと詰め込まれている。それを読むための机には陽が射していて、そこにも本がうずたかく積まれていた。

埃臭い迷宮に続く場所としては、あまりに清潔で、あまりにも人間的な空間だ。

「どういう……ことだ?」

そんな場所で――黒いローブを纏った美女が、椅子に座って優雅に本を読んでいる。

女は本を閉じると、長い髪をかき上げた。

「驚いたな。君たちは、この大迷宮を突破した初めてのパーティーだ」