「お兄様の邪魔はさせませんことよっ!」

不死鳥フウカは、広間を旋回しながらアジ・ダハーカに攻撃をしかける。しかし、やはり背後は取らせてもらえない――俺がやるしかない!

巨大な尾による攻撃は、ホエルの【天衣無縫】で、わずかに軌道を逸らすことができている。リュカとフェリスの【界面爆轟】は、ダメージを与えないまでも、アジ・ダハーカの隙を生み出しているように見えた。

「いける、いけるぞ!」

俺はとうとうアジ・ダハーカの背後へと辿り着いた。鱗のない後頭部が見える。俺はミスリルの剣を担いで、石畳を蹴った――その瞬間。



――グルンッ



まるで機械仕掛けのように、アジ・ダハーカの首がこちらを向いた――と同時に、赤いひとつ目がギン! と輝く。俺は空中だ。【天衣無縫】で軌道を変える時間はない。

「しまっ……!」



――ビギュウウウウウウウウウウン!



信じられない速度で発射された赤いビーム。俺を貫こうとしたその光が――。

「ソラ! アブナイ!」

ミュウが、俺の前に飛び出した。

赤いビームが輝きを増す。

その光は、ミュウ越しに見える。

必死に手を伸ばした――届かない――届かない――!



俺の身を焼くはずだった赤い光は、ミュウに、命中した。



「ミュウ!!」



俺の叫びもむなしく、赤い火花が、散った。



――ガランッ