銀色の鱗に包まれた、巨大なドラゴン。赤いひとつ目が輝く――完全な化け物だ。しかし、同時に俺は確信する。スキル【永久機関】――おそらくこいつはこの大迷宮が造られた当初から存在している。つまり、大迷宮を護るラスボスだ。こいつさえ倒せば、俺たちは森を出られる!

「慎重に行くぞ……」

俺はミスリルの剣を抜き放った、その瞬間。



――ドッゴォオオオオオォォォォ!



アジ・ダハーカの顎から放たれた黒い火球が、石畳を爆発させた。広間が揺れ動く。凄まじい一撃だ。随一の防御力を誇るホエルを除けば――。

「こいつは、一発でも喰らえばおしまいだぞ!」

「私たちが行く!」

リュカとフェリスが、大きく口を開いた。



【獄炎焦熱】

【絶対零度】



竜巻のようにうねる炎と氷が、アジ・ダハーカめがけて突き進む。そして腹部に到達した瞬間、熱と冷気が混じり合い――。



【界面爆轟】



巨大な水蒸気爆発によって、広間に再び轟音が響き渡った。あの白鯨を墜落させるほどの一撃、ただで済むはずがない――霧が晴れ、アジ・ダハーカの姿が現れる。

「マジ……かよ……」

銀色に輝く鱗には、傷ひとつない。あれを超える攻撃を放つのは、俺たちには不可能だ。俺は思わず背後を振り返る。

「………………!」