「所詮、この大迷宮に正攻法なんて存在しなかったんだ」

俺はどんどん壁を《分解》し、奥へ奥へと突き進んだ。そうして二、三時間も歩いた頃だろうか――俺たちは巨大な部屋に辿り着いた。カンテラで照らしても見えない天井。どこまでも続く壁。

「ヒロイ! ヘンナトコ!」

ミュウが、跳ねながら俺に寄ってくる。フェリスは、氷の剣を握った。何かの気配を感じる。おぞましい殺気が、この空間には満ち満ちている。



――ズゥン――ズゥン



巨大な足音が、遠くから聞こえる。

「ホエル以外は、元の姿に戻った方がいい。ヤバいのが来るぞ……」

白鯨の巨体は無敵に近いが、この大迷宮自体が崩落しかねない。リュカは竜王に、フェリスは狼王に、フウカは不死鳥へと姿を変えた。



――グルゥオオオオオオオオオオオオオン



巨大な脚が、黒い石畳を踏みしめた。



《鑑定》



名前:邪龍アジ・ダハーカ

年齢:不明

性別:不明

称号:大迷宮の守護者

レベル:1500

【HP】86000

【MP】79000

【攻撃力】113000

【防御力】98000

【持久力】78000

【精神力】56000

【素早さ】68000

【器用さ】50000

【運】41000

スキル:【永久機関】



「ウッソだろ……!」