もしこの猛毒茸をモンスターに食べさせることができれば、自分より強い相手を倒せるということになる。その場合、臭いによる忌避効果は失われるが、試してみる価値はあるだろう。これは剣も槍も斧も魔法も無い中で、やっと見つけた俺の武器だ。少し心もとないけれど、あらゆる可能性を探らなければ、俺は生き延びられない。

「洞窟だ……」

入り口にツタの垂れ下がった洞窟を見つけた。俺は聞き耳を立て、洞窟に猛毒茸を放り込んだ。何の音もしない。

「中は安全そうだな」

俺は洞窟に入ってようやく、ちょっとした安心感を味わった。とにかく入り口にさえ注意していれば、命の危険はなさそうだ。俺は投げ込んだ猛毒茸を拾うと、洞窟の入り口に設置した。

これで一安心。

「とはいえ、いつまでもこうしてるわけにもいかないな……」

そこで俺は、さっきの思いつきを試してみることにした。猛毒茸を魔物に食べさせる――悪いアイディアじゃないはずだ。

「しかしこの臭いじゃ、魔物も食べないよな」

俺はステータスを開いて、何か使えるものはないか探してみた。



《分解》



「こいつでどうだ……」

使ってみると猛毒茸の臭気が消えた。魔物の忌避効果が失われたことに少し不安を感じたが、目的はこれを魔物に食わせることだ。

「ほかに使えるものは……と」



《構築》



「こいつだ」