継ぎ目のない巨大な鉄球が、灰になった骨を完全に閉じ込めた。
――グルルォォオオ……グルルォォオオ……
ガンッガンッと内側から鉄球を叩く音が響く。これでこいつの始末は付いた。
「フウカ、助かったぞ」
「わたくしはこの森の頭脳ですわ! まかせてくださいまし!」
フウカは平たい胸をぽんと叩いた。
「しかしこいつは元気だな、まだ中で暴れてる……」
そこで――俺はそこであることに気付いた。
「……似てやしないか」
「何、に?」
リュカの問いに、俺は視線を返した。
「今の俺たちにだよ」
クリーメイテッドレギオンは、未だ鉄球の内側を叩き続けている。
「この大迷宮は、明らかに人工物だ。そして森の魔物たちは、俺たちはその内側に閉じ込められている。こいつと一緒だよ」
俺は拳で鉄球を叩いた。高い金属音が、部屋に響き渡った。
「……少し、休憩しよう」
俺たちはその場で車座になった。携帯コンロで湯を沸かして、みんなにお茶を振る舞う。果物を練り込んだ甘いソフトクッキーも持ってきている。栄養補給は重要だ。
「干したレインボーフルーツの甘味が、お茶と合うわね! 美味しいわ!」
いろんなものを食べさせてきたから、リュカたちも舌が肥えてきている。
「お兄様はお菓子作りの大天才ですわ!」
「褒めすぎだよ」
