俺が呼びかけると、リュカは素直に頷く。

「一緒に、外の世界を見ような」

「うん、必ず」

リュカは立ち上がって、ドアの前で立ち止まった。

「寝るのを邪魔してごめんね」

「大丈夫だよ、また何かあったら声をかけて」

「うん」

リュカはこちらを見て、穏やかな笑みを浮かべた。

「おやすみ、ソラ」

ドアが閉まると、俺はランプを消した。

「ソラ、オハナシ、スル」

星明かりに照らされて、ミュウがぽいんっと跳ねた。

「まだ起きてたのか」

「ソラ、リュカト、オハナシ、シタ。ボクモ、オハナシ、スル」

「そうだな、お話し、しようか」

俺は、自分のいた世界のことを、ミュウに話した。ゲーセンとか、学校とか、とりとめもない話。それをミュウは、嬉しそうに聞いている。

「ボク、モリカラ、デタコトナイ」

ミュウの表面で、月がきらっと光った。

「ソトノセカイ、タノシミ!」

「……そうだな」

小さな身体で、思うことはたくさんあるのだろう。なにせ俺たちより前に、この森から抜け出した魔物は、一匹もいないのだ。

「明日に備えて、そろそろ寝ようか」

「ウン」

ミュウはぽいんっと跳ねて毛布に包まった。

俺も、その夜は、ぐっすり眠ることができた。





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