ぽーんと指輪が宙に跳ねた、その指輪を。



――ぱくんっ



ミュウが食べてしまった。

「駄目ー! 吐き出してー!」

リュカがミュウを掴んで、ぷるんぷるんと揺さぶる。

「みゅ! ユウジョウノ、アカシ、ボクノ!」

そんなわけで、オリハルコンの指輪はミュウのものとなった。

「ああ、見えてさえいたらわたくしにもチャンスが……」

フウカがうなだれる。

「そんなに見えないのか?」

俺が尋ねると、フウカはこくりと頷いた。

「今も真っ暗でしてよ」

「それなら、ちょっと広間で待っててくれよ」

俺は部屋に戻ると、赤外線クリスタルを引き出しから取り出した。これを通して景色を見ると、夜でも明るく見える。残っていたミスリルを加工してフレームを作り、薄く引き延ばした赤外線クリスタルを嵌めた。

「これでよし、と」

鳥目メガネの完成だ。

フウカに手渡すと、首をかしげた。

「これはなんの道具ですの?」

「こうやって使うんだよ」

俺はフウカにメガネをかけてやった。

「外を見てごらん」

フウカは窓に歩み寄って、外の景色を眺めた。

「すごいですわ! きれいに見えます! 木の輪郭までくっきりと!」

「気に入ってくれたかな」

大迷宮には、きっと薄暗いところもあるに違いない。このメガネがあれば、フウカも問題なく攻略に挑めるだろう。