リュカは木剣をくるりと回して、肩に担いだ。

「謙遜しないで。勝ちは勝ち、負けは負け」

一方俺はというと、手が痺れて木剣を握っているのがやっとだった。人間態のリュカの実力を計ることができたし、レベルアップを重ねた俺自身の力も知ることができた。有意義な模擬戦だった。

「見ていてひやひやしましたわ!」

フウカは胸の前で、両手を握りしめていた。

「すごかったね~」

ホエルは相変わらずで、

「私とも手合わせ願いたいものだ」

呟くように言ったのがフェリス。

「今度にしてくれ、俺はもう限界だ」

「だろうな、手が震えているぞ」

案の定、見透かされていた。そこでホエルが、大きな胸の前でぽふんと手を合わせる。

「またマッサージしてあげようか~」

「それは勘弁してください」

「あれ~」

ホエルはぽやんと首をかしげる。大浴場の悲劇を繰り返すことは、何がどうあろうと避けたい。俺は広間に戻って、軽くストレッチをした。

「そろそろ行けるか……大迷宮」

森を治めていた四人の固有種、そしてミュウも忘れてはいけない。戦力は揃ったように思える。

「今のソラの実力なら、不可能じゃないと思うわ」

リュカが言った。

「さっき、見せてもらったからね」

「私も同意見だ」

フェリスはお茶をひとくち飲んだ。

「ソラはもう大迷宮を攻略する力を身につけている」