外れスキルでSSSランク魔境を生き抜いたら、世界最強の錬金術師になっていた~快適拠点をつくって仲間と楽しい異世界ライフ~

「お兄様! リュカなんかギッタンギッタンのめっちゃくちゃに……ひっ」

フウカはリュカに睨まれて、言葉を留める。

「なんか面白そうなことしてるのね~」

ホエルはいつもの、のほほんとした様子で、ベンチに腰掛けた。

「じゃあ、行くぞ」

「いつでもどうぞ」

ミスリルの剣を振るってレベルアップを重ねたことで、俺には剣技がある程度身についていた。木剣を上段に構えると、すっと背筋が伸びた。

対してリュカは正眼の構えで、まっすぐ切っ先をこちらに向けている。リュカも人間態になったことで、剣技を獲得しているらしい。

俺は地を蹴って間合いを斬り、リュカに肉薄した。リュカはあくまで冷静に、木剣をわずかに傾ける。俺が剣を弾くことに対抗する動作だ。俺はリュカの切っ先ギリギリを駆け抜けて、背後に回った。もちろんリュカの反応は素早い。リュカの振り向きざまの一閃を、俺は大きく宙に飛んで回避した。

空中では通常、身動きが取れない。そこに隙を見出したリュカは、振るった木剣を反転させ、俺のいる上空へと翻す。

「隙あり!」

「どうかな?」



【天衣無縫】



俺の身体は、風に舞い上げられたように上空へと昇る。リュカの切っ先は上着の裾を掠め、俺は闘技場にふわりと降り立つ。

リュカは鋭い笑みを浮かべた。

「小癪な戦いをするのね、ソラ」

「それなら、まっとうなやつをやってみるか」