ミュウを連れて、森を歩く。最初は陰鬱に感じていたこの森も、今ではなんだか自分の庭といった感じで、リラックスできるようになっていた。

「ソラ、マモノ、クル!」

ミュウの言葉に、俺はミスリルの剣の柄に手をかける。今では、たいていの魔物には対応できる自信がある。

「出てこい!」

「オウサマ……ゴキゲン……ヨイ……」

頭を下げながら出てきたのは、オークだった。俺は剣の柄から手を離す。

「襲ってくる感じじゃなさそうだな」

リュカたちの言葉は、森中に広まっているらしい。そしてあの城の威容も、効果を発揮しているのだろう。俺はちゃんと、魔物たちに王として認識されていた。

「オウサマ……ミツギモノ……」

オークが取り出したのは、小さな石ころだった。でも貢ぎ物だと言うのだから、ただの石ころではないだろう。俺はオークの巨大な手から石ころを受け取った。



《鑑定》



〈オリハルコンの鉱石〉



「おおっ!」

あの洞窟でも見つけられなかった鉱石だ。

「オレ……モッテテモ……ツカエナイ……オオサマ……ゼヒ……」

オークも、貴重なものだと認識しているらしい。

「ありがとう、頂いておくよ」

「アリガタキ……シアワセ……」

オークは深く頭を下げると、森の奥へ消えていった。

「本当に、王様になっちゃったんだなあ……」

「みゅ! ソラ、オウサマ!」