目を覚ますと、俺は森の中で仰向けになって倒れていた。太陽が真上にある。おそるおそる腹を触ってみた。傷口は、何もなかったかのようにぴったりとふさがっている。左腕も、動くようになっていた。
「本当に“完治”の薬草なんだな……」
口の中には、清涼感と苦みが残っている。俺は〈完治の薬草〉を無我夢中で飲み込んだらしい。
コカトリスが戻ってくる前に、俺は必死で走って、その場から逃げ出した。
俺はこの世界の異常性に感じ入ると共に、これからの生活に大きな不安を抱いた。さっきは〈完治の薬草〉によって命を取り留めたが、こんな幸運はめったにないだろう。そして、今更になって、孤独が心を蝕み始めた。どこかに、人はいるのだろうか。
「こんなところで、生きていくのか……」
しかし、まさか全部なげうって死ぬなんていう選択肢はない。どんな状況であれ、ともかく、生きねば。
今、俺の最大の武器は、おそらく《鑑定》だ。周囲にあるものを片っ端から鑑定して――。
「そうだ、MP」
俺は念のため、ステータスを開いた。やはりだ。MPが5消費されている。《鑑定》はMPを消費するのだ。そして〈完治の薬草〉ではMPは回復できない。
「慎重に使わないと詰むな、これは」
「本当に“完治”の薬草なんだな……」
口の中には、清涼感と苦みが残っている。俺は〈完治の薬草〉を無我夢中で飲み込んだらしい。
コカトリスが戻ってくる前に、俺は必死で走って、その場から逃げ出した。
俺はこの世界の異常性に感じ入ると共に、これからの生活に大きな不安を抱いた。さっきは〈完治の薬草〉によって命を取り留めたが、こんな幸運はめったにないだろう。そして、今更になって、孤独が心を蝕み始めた。どこかに、人はいるのだろうか。
「こんなところで、生きていくのか……」
しかし、まさか全部なげうって死ぬなんていう選択肢はない。どんな状況であれ、ともかく、生きねば。
今、俺の最大の武器は、おそらく《鑑定》だ。周囲にあるものを片っ端から鑑定して――。
「そうだ、MP」
俺は念のため、ステータスを開いた。やはりだ。MPが5消費されている。《鑑定》はMPを消費するのだ。そして〈完治の薬草〉ではMPは回復できない。
「慎重に使わないと詰むな、これは」