「広がってるじゃない~」

広がっているのではない。広げられているのだ。

「裂けるッ!! 裂けるッ!! 取れちゃうううううううう!!!」

「人間の足って取れるの~?」

「取れないいいいいいいいいいいいいいいい!!!」

「取れちゃうとか言って~嘘ついちゃだめだよ~」

「だずげでええええええええええええええええ!!!」

ステータスウィンドウがアラートを鳴らしてくる。HPが表示される。すごい勢いで、ゴリゴリ削れている。駄目だ。死ぬ。

「だれきゃあああああああああああああああああああ」

「ソラの声って、とっても可愛いね~」

とうとう身体が湯船から持ち上げられる。俺は両足をあり得ない角度で開いたまま、ぶくぶくと泡を吹き始めていた。そこに新たに入ってきたのが、一糸まとわぬフウカの姿。

「お背中を流すのは、妹の務めですわ、お兄様!」

目が涙で滲んでよく見えない。

「お風呂で歌をうたうのは、人間の習性だと聞いたことがありますわ! その遠吠えが人間の歌なのですね……ってええええええええええ!!」

強制M字開脚によって失神寸前になっている俺を見て、フウカが悲鳴を上げた。

「おっぴろげお兄様ぁああああああああああああああああああ!!!!」

「なにごと!?」

「ソラ!!」

俺の悲鳴を聞いて、リュカとフェリスが駆けつけてくれたらしいが、もうそこから先の記憶はない――。