やはりいちばんの古株はホエルらしい。
「わたしが~、ちっちゃなちっちゃな、ミュウくらいの、小クジラちゃんだった頃ね~」
ホエルは、いつものゆったりとした調子で、話を始めた。
かつてこの世界には、あらゆる生物の生存を脅かす〈原初の五柱〉と呼ばれる魔物が存在した。彼らはあらゆる場所で争いを繰り広げ、戦火はどこまでも世界中に拡大していた。
「みんなね~、〈原初の五柱〉には、すっごく困ってたのよ~。でも誰も逆らえないのね~」
そして誰の提案によるものか、その五体の魔物が一堂に会して、決戦を行おうという運びになった。そして〈原初の五柱〉が同じ場所に集ったその瞬間、周囲を取り囲む巨大な壁が出現したというのだ。
「すっごい音がしてね~。ど~んって。そしたら出られなくなっちゃったの」
そして閉じ込められた魔物は、縄張り争いを繰り広げ、殺し合い――。
「〈原初の五柱〉は、結局みんな死んじゃったの。ずっと、昔の、お話よ~」
ホエルの、あの巨体を思い出すに、気の遠くなるような年月が流れたことだろう。
「フウカの言ってた〈混沌の地獄〉ってのは、その時期のことだな」
「そうですわ、それはもう酷い有様でしたもの! 今のような縄張りができてからは、ずいぶんマシになったんですのよ」
「でも、こんなふうに森の支配者が集まることはなかった」
リュカが言った。
「わたしが~、ちっちゃなちっちゃな、ミュウくらいの、小クジラちゃんだった頃ね~」
ホエルは、いつものゆったりとした調子で、話を始めた。
かつてこの世界には、あらゆる生物の生存を脅かす〈原初の五柱〉と呼ばれる魔物が存在した。彼らはあらゆる場所で争いを繰り広げ、戦火はどこまでも世界中に拡大していた。
「みんなね~、〈原初の五柱〉には、すっごく困ってたのよ~。でも誰も逆らえないのね~」
そして誰の提案によるものか、その五体の魔物が一堂に会して、決戦を行おうという運びになった。そして〈原初の五柱〉が同じ場所に集ったその瞬間、周囲を取り囲む巨大な壁が出現したというのだ。
「すっごい音がしてね~。ど~んって。そしたら出られなくなっちゃったの」
そして閉じ込められた魔物は、縄張り争いを繰り広げ、殺し合い――。
「〈原初の五柱〉は、結局みんな死んじゃったの。ずっと、昔の、お話よ~」
ホエルの、あの巨体を思い出すに、気の遠くなるような年月が流れたことだろう。
「フウカの言ってた〈混沌の地獄〉ってのは、その時期のことだな」
「そうですわ、それはもう酷い有様でしたもの! 今のような縄張りができてからは、ずいぶんマシになったんですのよ」
「でも、こんなふうに森の支配者が集まることはなかった」
リュカが言った。
