………………。

…………。

……。





気がつくと、俺は土の中にいた。かろうじて顔と右腕だけが外に出ている。

左腕を動かそうとすると、激痛が走った。骨折しているらしい。

目の前には、バラバラになったワイバーンの骨が転がっている。

「くっ……そ……」

俺が生きているのは――おそらくは保存食。土饅頭にされているのだ。喰われるのは時間の問題だろう。

動く右腕で、全身を確かめる。腹の辺りが、熱い。土がぐっちょりと濡れている。腹からの出血が止まらない。

生きなければ、とにかく、生きなければ。こんなところで死ぬのは嫌だ。俺は死にたくない!

「誰か……いや……何か……」

俺は無意識に《鑑定》を使って、気を失いそうになりながらも、あたりを見渡した。

「あれ……は……」

水色をした草が、淡く光っていた。その上には緑色の文字がある。



〈完治の薬草〉



俺は土饅頭の中から這い出て、完治の薬草が生えている場所まで身体を引きずって行った。ズタズタになった腹を地面が傷つけるのがわかる。視界が暗くなっていく。間に合ってくれ、間に合ってくれ、間に合ってくれ――俺は再び気を失った。

どれだけ時間が流れたのかはわからない。

「………………はっ!」