外れスキルでSSSランク魔境を生き抜いたら、世界最強の錬金術師になっていた~快適拠点をつくって仲間と楽しい異世界ライフ~

巨大な影が周囲を覆う。

「ソラ!!」

「逃げろ!!」

背後で竜王と狼王の声。

「ふたりとも、背中は頼んだぞ……」

その瞬間、ステータスに小さな画面が浮かび上がった。



『新しいスキルを取得しました』



「【豪力】ッ!」

これで威力は三倍。

「【阿修羅】ッ!」

これで手数を増やす――そして。

「これでも喰らえッ!!」



【界面爆轟】



俺が剣を振るうと、炎と冷気が渦を巻きながら白鯨の腹へと、突き進んだ。そしてその交わりが臨界点に達する――冷気によって凝縮された質量が、炎によって爆轟を引き起こす。

水蒸気爆発だ。



――ゴババババババババババァッ!!



白鯨の腹から尾にかけて、凄まじい爆発が連なって巻き起こる。俺は自分のスキルが引き起こした爆風で、いまにも吹き飛ばされそうだった。

「あああれ~」

白鯨の巨体が大きく傾ぐ。胸びれが地面を削り、尾がゆっくりと回転し、大地を震わせながら、ついに墜落した。泥塊が周囲に飛び散り、不死鳥の羽を汚した。

「ま、ままままままままままさか白鯨がっ!!」

不死鳥の叫声が、どこか遠く聞こえる。

MP、ゼロ。

すべて使い果たした。

今にも倒れそうだ。

「ぬぬぬぬぬ……こうなれば、乾坤一擲!」

不死鳥は大きく羽ばたき、嵐の吹き荒れる空へと舞い上がった。