外れスキルでSSSランク魔境を生き抜いたら、世界最強の錬金術師になっていた~快適拠点をつくって仲間と楽しい異世界ライフ~

リュカは竜王に、フェリスは狼王に姿を変えている。もはや戦うしかない――けれども、あの白鯨にどう立ち向かえばいいのか見当も付かない。

「白鯨、押し潰してさしあげて!」

「わかった~」

不死鳥の言葉とともに、白鯨の巨体が空から迫ってくる。

「ソラ!」

狼王が俺の服を咥えて、走り出した。竜王はミュウを抱えている。耳が破裂しそうなほどの轟音とともに、白鯨は地面に身体を叩きつけた。巨岩が粉砕され、木々が弾け飛ぶ。俺たちは間一髪で白鯨の落下範囲外に転がり出た。

白鯨から敵意は感じられない。どういう理由があってかは知らないが、白鯨は不死鳥の言葉通りに動いているだけだ。脅威としての方向性が違うという、フェリスの言葉を思い出す。ただただ、その大きさが規格外なのだ。

再び大空に浮かび上がる白鯨。俺たちを下ろした竜王と狼王が、そこへ飛びかかっていく。森を焼き尽くす炎と爪。すべてを凍りつかせる冷気と斬撃。しかし白鯨のスケールは、それを遥かに凌駕している。俺も剣を抜き、戦闘に加わった。

「【獄炎焦熱】ッ!」

リュカから授かったスキル。剣を振るうと、強力な炎が噴射される。

「【絶対零度】ッ!」

フェリスから授かったスキル。切っ先から、光線のように冷気が迸る。

しかし、そのどちらも、白鯨には通用しない。炎も冷気も、すべて分厚い皮膚に弾かれた。

「白鯨! もういちど地面に!」