やっぱり、錬金術といえば古代語の解読とかが必須になるのだろう。俺が来た世界でいうラテン語みたいな。《解読》を使うと、一瞬文字が滲んで、日本語に置き換わった。



『森中央の広場でお待ちしています。三人でいらしてください。あの辺りは陽当たりが良いのでカンラン草が美しい花を咲かせます。時期になりますとこれが黄色い実を付けまして、それがたいそう美味で、ぜひ皆さまにもご賞味いただきたく……』



これより先は読まなくても大丈夫だろう。要するにこれは。

「果たし状、だな」

気付けば、リュカが後ろに立っていた。

「私とフェリスがいれば、不死鳥を相手にすることは難しくないわ」

しかしリュカの憂い顔は、とても楽天的とは言えなかった。

「何か、あるんだな」

リュカは頷いた。

「あるかも、しれない」

俺たちは部屋に戻って、フェリスも交えて話し合うことにした。

「不死鳥だけであれば、どうとでもなる」

コンデンスヤシの樹液を飲みながら、フェリスも同じ事を言う。

「ただ、それは不死鳥も重々承知しているはずだ。その上での挑戦状、となれば……」

フェリスとリュカが視線を合わせた。

「「白鯨」」

この言葉を出したのは、ふたり同時だった。

「ハクゲイ?」

俺が尋ねると、リュカが頷いた。