「でもべつに~」

「やーっぱり白鯨は同意してくださるのね、ありがたい味方ですこと! よくわたくしについてくださいました」

「う~ん……でも~」

「心強い言葉に、感謝のしようもありませんわ! わたくしたちはこれで立派な同志! よろしいですね?」

「そうなのかな~」

「そうですとも! さて話はまとまりました! 竜王どもに挑戦状を叩きつけようではありませんか!」

「う~ん」

はっきりしない白鯨の返事に、不死鳥は翼を羽ばたかせる。

「ほら、マッサージですよー! どうかしら? どうかしら?」

辺り一面に、響き渡る轟音。不死鳥の雷だ。

「ああ~いい~」

「これでよろしいですね! ではわたくしと白鯨の思いの丈を、この石版に書き付けます! 連中の巣に置いて参りますね!」

「わかった~」

大地の響きを後にして、不死鳥は大きな翼を広げて飛び立っていった。





*   *   *





食料を採りに行って、その帰りのことだった。

洞窟の前に、巨大な石版が突き刺さっていた。

「不死鳥のやつか……」

石版には何かが書き付けてあるけれど、さすがに日本語ではない。外界と隔絶された森で発達した言語だろうから、きっとこの世界の普通の人間にも読めないだろう。

「何かあったかな」

俺はステータスを開いて、スキルを探す。



《解読》