そう言い放った瞬間、雷がそこら中に落ちて、木を焼き、岩を割り、凄まじい音を森に響かせた。不死鳥は羽をばたばたいわせて、あからさまに動揺している。

「そんな、そんなそんなそんなそんなことが許されようとでも!?」

俺は不死鳥に背を向けて、リュカと目を合わせる。

「よく決断したな。仲間として、俺たちと一緒に来て欲しい」

「ありがとう、やっと踏ん切りがついたわ。私たちは不断の契りを交わしたんだから。どこまでもついて行くから!」

俺が伸ばした手を、リュカは握った。その背後で、不死鳥が叫ぶ。

「あまりに自分勝手! あまりに常識を欠いています! わたくしと共に森の平和を守ってきたのではありませんか! これは明白な裏切り行為です! 縄張りが欲しいのは事実ですが、竜王と狼王を失った森を統治するのはあまりに……あああもう! これでは森は〈混沌の地獄〉へと逆戻りではありませんか!」

視界が真っ白になるほどの強烈な落雷。思わず目を覆うその向こうで、不死鳥が羽ばたくのが聞こえた。

「あなたの過失です! 明白な! 明白なあなたの過失です!」

そんな捨て台詞を残して、不死鳥は飛び立っていった。

不死鳥がいなくなると、雨が止み、再び雲間から朝の光が射した。濡れた森の中で、俺たちは立ち尽くしていた。