「ソラ、外に出よう。挨拶をしたい奴が来たらしい。我も同行する」

何が起こるのかは分からないけれど、俺たちはとりあえず洞窟の外に出ることにした。降り注ぐ雨にずぶ濡れになりながらも、俺は空を見上げた。

「それにしても酷い天気だ……」

その瞬間、背後でドンッと、凄まじい雷鳴に鼓膜を貫かれた。思わず振り向くと、洞窟の上の高台に――。

「皆様におかれましては、ごきげん麗しゅう……」

そこにいたのは、雷を纏った巨大な鳥だった。竜王、狼王に引けを取らない、凄まじい威圧感だ。

「そうでもない」

フェリスが巨大な鳥を睨んだ。

「同感ね」

リュカも視線を上に向ける。

「まあ、ヒドイ挨拶ですこと! と、おふたりはもしや竜王に狼王? そんな姿になって、いったいいかがなされたのかしら?」

「私がそれに答える必要があるの?」

巨大な鳥のフランクさに対して、リュカは敵意?き出しだ。フェリスも、油断なく相手を見つめている。

「わたくしは、不死鳥と申します。森を治める固有種の一角です」

不死鳥は羽を広げ、うやうやしく胸元にその先端を向けた。

「〈第五の存在〉として名高いあなたにお会いできて、大変うれしく思っております。ご挨拶が遅れ、大変失礼を致しました。あなたの実力は聞き及んでおります。これから悪魔の森に調和をもたらす良き隣人として、末永く仲良く致しましょう」