夏休みに入って一週間が過ぎた。
青空に映える白いワンピースを着て、ベルトの付いたサンダルでじゃり道を駆け上がる。
目的の場所は、魔女の家。
一年前の夏、別れ際に彼が告げたのは、〝また来年の夏、五日間だけここへ来るから〟だった。
愛猫と同じ名前の花をくれて、「またね」と手を振る姿を思い出して、庭の前で足を止める。
……ほんとに、いた。
相変わらず満面に咲く花の中で、きらきらとした絹糸のような白髪が揺れている。
ふと視線が触れ合ったとき、この空間だけ時間が止まった気がした。
覚えてくれてるかな。
「……久しぶり、だね」
ぎごちなく口を開くと、紅い満月のような瞳が三日月になって。
「花梨のこと、待ってた」
ここへ向かっていた時より、なぜか胸がドキドキと波打っている。
庭のテラスで、薔薇の紅茶をもらった。淡く色づいた紅色がきれいで、じっと見つめていると、となりから視線を感じた。
見られることにあまり慣れていないから、「なに?」と素っ気ない態度をとってしまう。
「……髪、伸びたね」
頰杖を付きながら、にこりと笑う彼。
それだけで心臓がはち切れそうになるのに、長い人差し指がわたしの横髪をさらっとなびかせる。
髪の一本ずつに神経でも通っているのか、触れたところから熱が上がりそうだ。
青空に映える白いワンピースを着て、ベルトの付いたサンダルでじゃり道を駆け上がる。
目的の場所は、魔女の家。
一年前の夏、別れ際に彼が告げたのは、〝また来年の夏、五日間だけここへ来るから〟だった。
愛猫と同じ名前の花をくれて、「またね」と手を振る姿を思い出して、庭の前で足を止める。
……ほんとに、いた。
相変わらず満面に咲く花の中で、きらきらとした絹糸のような白髪が揺れている。
ふと視線が触れ合ったとき、この空間だけ時間が止まった気がした。
覚えてくれてるかな。
「……久しぶり、だね」
ぎごちなく口を開くと、紅い満月のような瞳が三日月になって。
「花梨のこと、待ってた」
ここへ向かっていた時より、なぜか胸がドキドキと波打っている。
庭のテラスで、薔薇の紅茶をもらった。淡く色づいた紅色がきれいで、じっと見つめていると、となりから視線を感じた。
見られることにあまり慣れていないから、「なに?」と素っ気ない態度をとってしまう。
「……髪、伸びたね」
頰杖を付きながら、にこりと笑う彼。
それだけで心臓がはち切れそうになるのに、長い人差し指がわたしの横髪をさらっとなびかせる。
髪の一本ずつに神経でも通っているのか、触れたところから熱が上がりそうだ。