いいんだよ、と、唐突に楡が落ち着いたトーンで言った。
「言わせとけってほど完璧強くいる必要はねえけど、あんたのせいで弱くならなきゃいけない必要もないんだー、くらいの考え方で。これは俺が思うだけだけど、もしよかったら参考にどうぞ」
楡がわらう。にや、って、する。自信満々って感じで、思わず笑みみたいなため息みたいな声がこぼれた。
「明日、クレープ食べに行こ」
「おう」
「その前にさ、教室で遺書書こう」
「……ここであんま遺書とか言わんほうが」
「あ、うん、そうだった。手紙。手紙書こ。まずゆらちゃんに。それで今後、もっと書いてこ。いろんなひとに。こっちは遺書ね」
「遺書だけ顕著にボリューム落とすの面白いな」
くつくつわらう楡をよそに、おそらくあと10年程度の自分のからだのことを考える。10年。楡はあと72年とだいぶだと思う。楡。楡みたいには、強くいられないだろうな。見えるとこすらも弱くなってしまうだろうな。
でもそれでも、完璧強いとか完璧弱いとかに振り切らなくてもいいそうなので、これは享受してぱくって生きていこうかな。
そういうふうに緩く考えていこうかな。
「何笑っとんじゃい」
「ええ、楡もわらってたのにずるい」
「……で、なんでわらってたの。白状しろ」
「楡の影響でさ、わたしいろいろ変わってきてるの。だから、これからも隣にいてもらわなきゃ困っちゃうなっていう楡拉致監禁計画」
「最後で一気に怖くなったわ」


