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5月、担任と保護者の二者面談があった。またもう少ししたらわたしもまじえて、母と先生と三者面談になる。
母から二者面談の話を聞いた。それを聞いて、もっと先生の理想に答えるようにいい子にならないと、自分の価値を見失ってしまうだろうと思ったから。
『……先生と合わないかもって思ったら、絶対合わせなくても大丈夫だと思う』
『どういう、意味?』
『──麦が、クラスで孤立していて可哀想だって言われたんだけど』
母から歯切れわるく告げられたとき、はは、なんて低く乾いた声が出た。孤立していて可哀想。そこまではっきりと、──いや、実際にはもっとはっきり言っていたのかもしれない。母はそういうのを伝えるのを申し訳なさそうにするから。
なんだよ、孤立していて可哀想って。
散々理想に答えようと頑張らされてきたのに。
あなたならできるでしょう。あなたにだから頼んでるの。あなたのためを思って言っているの。
園田さんとあなたじゃ、釣り合わないでしょう? もっと他のお友達のほうがいいと思うの。
ね、あなたのためを思って言っているのよ。
ああそういえば、あのひと、わたしのことをちゃんと名前で呼んだこと、ないな。
ため息をついたときに心配の声かけをしてくれたことをきっかけに、輪の中心でキラキラしているタイプの女の子と仲良くなった。わたしはそういうグループに積極的にまざる人間じゃないけれど、楽しかった。話も弾んだ。保護者との二者面談の前に、ということで、先生と話すタイミングがあった。突き放された。告げられた。
わたしが彼女に釣り合わないの? それとも、逆? あー、逆かなって思った自分も嫌だな。つうかなんだよ、ただ教師がそれ言うの? 教師なのに、おまえの主観で釣り合うとか釣り合わないとか言うのかよ。友達やめろって、何?
あれ以降、わたしが園田ちゃんと話すと呼び出されるようになった。ねえ、わたしがあなたのためを思って言ってるの、わからない?
母から聞いた次の日、仮病をつかって学校を休んだ。仮病のつもりだったのに、午後には本当にぐあいがわるくなって過呼吸を起こした。


