「なんでわたしに余命告げたの? それと、なんで悪魔がどうとか言ったの。自分が悪魔だってこと、すぐには明かさなかったし、言ったら不都合があったのかなって思ってたんだけど」
「余命明かしたのは、まあなんか……逆に希望になんのかな、てきな」
あ、と、思わずあけてしまった口が塞がらなくなった。落ち着こうとするみたいに息を吸って、視線を下げる。ブルーベリーソース、青紫。
「……なってた。かも。終わりが見えてるならいますぐ終えなくてもいいかなあみたいな」
「うん。それと、まあ、普通に驚いたから。もっと短いひとも人間界にはたくさんいるけどさあ、こんなにくるしんでるのに余命も少ないなんてなあって」
「…………そうだね」
「余命少ないの、くるしい?」
「どうだろ。くるしい……んん、実感がわかない。ほんとにそこまで短いとは思ってなかったけど、勢いのまま縮めちゃうよりよかったのかもって思う。ことに、した。してる」
「そか。──あ、でさ、悪魔がどうとか言ったんは俺のエゴ」
「エゴ」
「おー。俺、悪魔界追放される気できたのにおまえから嫌われたら終わりなんよ。帰れないし、救えないし、さあ。だからまあ、刷り込み」
「刷り込み……」
「何、言い方が不服? それならちがうのにしようか。えーと……」
「いらない。なし。いらん、黙って」
「──……クレープ美味いな」
「ほんとに」
そのあとは無言。結局無言。無言で食べ進めて、先に食べ終えたのは楡だった。


