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「じゃーん! 穴場ですよ」
「わ、ほんとだ……!」
木造の小屋のようなちいさなお店。クレープ屋のようだ。路地裏に入ったときにはどきりとしたけれど、ここにたどり着くなんて。
ひとりで来るには怖いから、絶対楡を連れてこようと思う。まだ食べてもないじゃん、って言われるだろうから言わないけど、美味しいと思う。120パーセントくらいかけて言える。美味しそう。
「どれにします?」
「クリームブリュレ!」
「声量がいつにも増して……、まあわかるな。はしゃいじゃうよな。俺はラズベリーソースのミルフィーユ入り」
「そっちも美味しそうだね」
「な」
「……うん? 楡もはじめて来たの?」
「そ。はじめてはやっぱ高良サンとかなって」
ふぅん、とかるく流していると、楡がインターホンを鳴らした。メニューと同じように窓に貼り付けられた紙に書いてあることだ。御用のある方はインターホンを。ポップなレタリングでかたいことば。


