加藤は僕の髪を撫でながら、僕の名前を呼んだ。僕の舌先が彼女の乳首に触れるたびに、身体を小刻みに震わせる。彼女から漂う汗とシャンプーの混じった匂いに、僕の唾液の匂いが混じる。心臓が破れてしまうのではないかと心配になるくらい、早く鼓動し、身体じゅうが熱くてたまらない。真冬の暖房も入れてない部屋なのに。半裸の加藤は身体を下にずらすと、再び僕にキスをする。呼吸が苦しくなるくらい、長く、強く求めてくる。僕は加藤の責めに応えるだけで必死だった。二人とも息が荒くなっていた。苦しい。でも、もっと欲しくてたまらない。僕は自分でベルトを緩めると、スーツのズボンと下着を脱ぎ捨てた。勃起しきったペニスが、腹につくほど反り返る。僕の様子を見て、加藤は唇の端を上げて、意地悪な笑みを浮かべる。

「緒方、オチンチン丸出しで、上はシャツ着てネクタイしてるの変態だよ。マジウケる」
「勃起しすぎて痛いんだよ」
「もう、全部脱ごうか」

 加藤は立ち上がると、制服のスカートのフォックをあっさりと外してファスナーを下に下げた。すとん、と加藤の足下にスカートが落ちる。ブラジャーとお揃いと思われる赤いパンツと紺のソックスだけの加藤が「やっぱ緒方の前だと、ちょっと恥ずかしいな」とはにかんだ。僕は皺の寄った青いネクタイを外し、白いワイシャツのボタンを外す。外せない。

「あ、あれ?」

 指先が震えて、自分では上手く制御できない。まどろっこしい。加藤も脱いだのだから、僕も脱がなきゃと思うけど、身体が言うことを聞いてくれない。焦る。いっそ引きちぎってしまおうかとさえ思う。

「落ち着きなよ、緒方」加藤は僕に近寄ると、膝を折って、僕と同じ目線の高さになって微笑んでくれた。「大丈夫、私はここにいるから、ほら脱がしてあげる」彼女は両手の細く長い指先で僕のワイシャツのボタンをカフスまで丁寧に全部外してくれた。するりと、僕の両肩を軽く擦ってワイシャツを僕から取り去る。そして彼女は「はい、万歳して」と無地の白いくたくたになった僕のTシャツを上に引っ張る。僕はまるで彼女の操り人形になったように自動的に両腕を上げた。彼女は素早く僕から最後の一枚を脱がしてしまう。

「緒方、身体細いね。ていうか細すぎだよ。もっと食べなよ」

 加藤は全裸になった僕の胸や腹を手のひらで撫でながら、眉根を寄せた。